河川災害時に被害の拡大を防ぐため一刻も早く河川管理施設や公共土木施設の被災状況を把握して、緊急復旧に取り掛かる必要があります。しかし、大災害の発生時には通信や交通網が寸断され、情報収集にあたる人員不足が予想されます。
そのような時、河川管理施設や公共土木施設の整備管理等に長年携わった人々が、豊富な経験とノウハウを生かし、ボランティアとして施設の被災情報や地域の災害情報、変状等を迅速に収集・通報できるように、北海道開発局防災エキスパート(河川)として多くのOBの方が登録されています。なお、本制度は、阪神淡路大震災を契機として平成8年8月に創設されました。 当財団は、北海道開発局 防災エキスパート(河川)の事務局を担当しています。
|目的|
活動|
資格|
性格など|
体制|
各種様式|
研修|
防災エキスパート並びに当財団に感謝状贈呈|
出動実績|
目的
大規模災害の発生時における河川管理施設及び公共土木施設等の被災又は変状等の情報収集を強化することで、迅速かつ効果的な緊急復旧へとつなげ、施設の整備・管理等に関して専門のノウハウを持つ防災エキスパートの協力が、広範囲にわたるきめ細かな情報収集を可能にし、被災地域 又は変状等の一日も早い復旧に貢献します。
活動

昭和56年8月 沙流川(門別町)
防災エキスパートは、大地震や風水害などの大規模な災害が発生した時に、 河川管理施設や公共土木施設などの被災又は変状等の情報の迅速な収集を支援すると共に、平常時には河川管理施設の防災に関する点検、研修及び講習会等の支援活動を行います。
【要請に基づく活動】
北海道開発局の要請で指定された場所に参集し、被災又は変状等の情報の迅速な収集、あるいは研修・講習会等を支援します。

【自主的活動】
自宅や勤務地近辺等の河川管理施設又は公共土木施設の被災情報を所管する最寄りの北海道開発局の事務所等に自主的に通報します。
資格 登録人数:160名(令和 6年 6月 1日現在)
河川管理施設及び公共土木施設の整備・管理等についての経験などにより、その被害状況等について一定の把握ができること。
心身ともに健康であり、大規模災害発生時又は平常時に自主的に活動に参加できる見込みがあること。
被災地域の迅速な情報収集に誠意をもって努力し、一般のボランティア等と協調して活動できるものであること。
性格など
防災エキスパートは、個人の自由意志で参加するボランティアです。報酬や費用の弁償はありません。
防災エキスパートの活動に際し、当財団が保険に加入します。
防災エキスパートの活動には、所属企業等の理解が必要です。ご理解ご協力をお願いします。
体制
研修
被災又は変状等の情報収集のため出動する防災エキスパートは、安全かつ円滑にボランティア活動が行われるよう、 防災エキスパートとしての知識の修得・研鑽を行うために、毎年全体会議や現地でのブロック会議等を通じて研修を行っています。
【全体会議】
防災エキスパートとしての一般的行動規範や災害時の基本的対応等について、年1回出水期前に研修を行っています。
【ブロック会議】
各地区ブロックごとに、担当する各河川や地域の特性、事務所の非常時体制等に関する情報確認と、災害発生を想定した河川巡視や情報伝達の実地訓練等について研修を行っています。
【情報伝達演習】
河川ごとに出水を想定して、防災エキスパートの出動要請の情報伝達訓練を実施しています。
防災エキスパート並びに当財団に感謝状贈呈
平成28年8月下旬から9月上旬の台風第11号、9号、10号の影響に伴う大雨災害時に全道各地に出動支援した防災エキスパート(河川)の37名と事務局を担当する当財団に対し、北海道開発局長から感謝状が贈呈されました。
出動実績
- 災害名
- 出動場所
- 活動状況
- 写真
- 2019年(平成31、令和元年度)~2023年(令和5年度)
- 出動実績なし
- 2018年9月25日~9月29日
(平成30年度)
- 平成30年北海道胆振東部地震災害
- 災害復旧申請のための技術的指導・助言
(4名、延べ10人・日)
- 災害復旧申請のための技術的指導・助言
(4名、延べ10人・日)

北海道開発局リエゾンから被災概要の説明を受けている状況
- 2018年9月6日
(平成30年度)
- 平成30年北海道胆振東部地震災害
- 苫小牧河川事務所(鵡川・沙流川)
- 被災状況調査のため(2名、延べ2人・日)

鵡川左岸河口部の堤防亀裂箇所での現地指導状況
- 2018年7月5日~7月6日
(平成30年度)
- 前線の停滞に伴
う大雨災害
- 旭川河川事務所(忠別川、美瑛川、辺別川、石狩川)
- 被災状況調査のため(5名、延べ8人・日)

忠別川堤防法尻決壊箇所調査状況
- 2018年3月13日~3月14日
(平成29年度)
- 前線を伴った低気圧出水による災害
- 釧路河川事務所(標茶町下流~弟子屈町)
- 被災状況調査のため(5名、延べ9人・日)

釧路川上流地区河岸決壊箇所調査状況
- 2016年8月20日~9月7日
(平成28年度)
- 停滞前線、台風第11号及び第9号、第10号による堤防決壊など
-
北見河川事務所 (常呂川左岸堤防決壊)、(網走川)
空知河川事務所 (空知川左岸堤防決壊)
帯広河川事務所 (札内川、戸蔦別川合流点堤防決壊)
釧路河川事務所 (釧路川)
滝川河川事務所 (石狩川下流)
名寄河川事務所 (名寄川)
旭川河川事務所 (美瑛川、辺別川)
遠軽開発事務所 (湧別川、渚滑川)
- 被災状況調査のため全道直轄河川への出動者(37名 延べ 147人・日)
- 2015年
(平成27年度)
- 出動実績なし
- 2014年8月9日
(平成26年度)
- 低気圧出水による災害
- 美深町(天塩川)
- 被災状況調査のため(1名延べ1日)

- 2013年
(平成25年度)
- 出動実績なし
- 2012年4月23日~27日
(平成24年度)
- 斜面崩壊による災害
- 今金町(後志利別川)
- 被災状況調査のため(2名 延べ8日)
- 2011年9月3日~9日
(平成23年度)
- 出水による災害
- 蘭越町(尻別川)
音更町(音更川)
美瑛町(辺別川)
- 被災状況調査のため(10名 延べ24日)
- 2007年~2010年
- 出動実績なし
- 2006年10月11日
~10月13日
(平成18年)
- 低気圧出水による災害
- 紋別市、遠軽町、湧別町、上湧別町(渚滑川、湧別川)
- 被災状況調査のため(2名、延べ6日)
- 2006年10月9日
~10月13日
(平成18年)
- 低気圧出水による災害
- 大空町、網走市、北見市(網走川、常呂川)
- 被災状況調査のため(3名、延べ15日)

網走湖女満別湾(女満別駅裏)の被害状況
- 2006年5月12日
(平成18年)
- 低気圧出水による災害
- 沼田町(雨竜川
- 危険水位超過のため情報収集(4名)
- 2005年8月23日
(平成17年)
- 低気圧出水による災害
- 岩見沢市、三笠市、美唄市、(幾春別川)
- 危険水位超過のため情報収集(4名)
- 2003年9月29日
~10月3日
(平成15年)
- 十勝沖地震の余震災害
- 釧路市、釧路町、標茶町、弟子屈町(釧路川、新釧路川)
- 余震に伴う被災状況の情報収集、整理 (2名、延べ5日)
- 2003年9月26日
~10月3日
(平成15年)
- 十勝沖地震災害
- 池田町、豊頃町、浦幌町、幕別町
(十勝川下流)
- 堤防亀裂、法崩れ等の情報収集、整理(7名、延べ27日)
- 2003年8月10日
~12日
(平成15年)
8月16日、18日
- 台風10号に伴う
大雨災害
- 鵡川町、穂別町、平取町、門別町 (鵡川、沙流川)
門別町
- 被災状況調査(5名、延べ15日)
行方不明者合同捜査本部会議出席(2名、延べ2日)

二風谷ダムに捕捉された大量の流木
- 2001年9月15日
~9月21日
(平成13年)
- 台風15号に伴う
大雨による災害
- 女満別町
(網走川)
- 網走湖の周囲堤部の漏水に伴う水位の上昇があったため堤防決壊のおそれが生じた、河川パトロールの実施(延べ10名、38日)

網走川(網走湖荘)表玄関側の浸水状況
- 2001年9月11日
~9月13日
(平成13年)
- 秋雨前線、
台風15号に伴う災害
- 紋別市・湧別町
(渚滑川・湧別川)
- 危険水位を超えたため河川パトロールの実施(1名)
- 2000年9月2日
~9月3日
(平成12年)
- 大雨による災害
- 紋別市
(渚滑川)
- 危険水位超過のため河川パトロールの実施(1名)
- 1998年9月16日
~9月18日
(平成10年)
- 台風5号に伴う
大雨による災害
- 紋別市
(渚滑川)
- 計画高水位突破により河川パトロールの実施(2名、延べ6日)
- 1997年6月13日~14日
(平成9年)
- 苫小牧沖油流出事故
- 苫小牧市
(西港沖合)
- 船舶衝突事故により海岸に漂着した流出油を回収(延べ5名)

苫小牧沖重油流出事故の油回収作業