2003年台風10号による沙流川二風谷ダム
における流出解析と実時間流入量予測

Runoff Analysis and Real-Time Prediction of Inflow
to Nibutani Dam due to the August-Flood in 2003
星 清・松木 賢治・片山 直樹
Kiyoshi HOSHI , Kenji MATSUKI and Naoki KATAYAMA
1(財)北海道河川防災研究センタ-研究所長
2(財)北海道河川防災研究センタ-業務部
3(株)リブテック計画部
要旨

北海道では、昨年(2003年)8月、台風10号により、日高地方を中心にこれまでの記録を塗り替える豪雨があり、災害弱者、道路利用者等11名の尊い人命が失われ、甚大な洪水被害を被った。この洪水により、治水施設の適正な管理とともに、正確で迅速な気象情報及び洪水予警報が持つ「情報の価値」の重要さが改めて再認識された。そのため、非構造的(nonstructural)治水対策として知られるソフト対策(精度の高い洪水予警報システム)に対する期待はますます大きくなっている。

 本報告では、沙流川二風谷ダム地点における2003年台風10号について、二風谷ダム流域を単一流域として扱った場合と、複合流域として扱った場合の流出解析を行い、各流出モデルの再現性を検証した。

 また、ダム流入量予測には、単一流域を対象として流出モデルに1段タンク型貯留関数モデル及び2段タンク型貯留関数モデルを採用し、カルマン・フィルター理論を組み合せた。

《キーワード:1段タンク型貯留関数法;2段タンク型貯留関数法;河道追跡;洪水予測;カルマンフィルター》