洪水時における短時間降雨予測の誤差分散

雨量レーダの観測等に基づいて算出される数時間先までの降雨予測情報は、防災対策上有用な情報として広範に利用されてきている。しかしながら、その予測情報が持つ不確定性については、あまり定量的な認識を持たれていない場合が多い。
　とくに、洪水時に河川水位や流量を実時間で計算する洪水予測システムでは、オンラインで降雨予測の数値データを取り込み、計算の入力データとして活用している。このため、降雨予測の精度をいかに向上させるかということが、河川の洪水予測システムにとっても、精度向上の最大の鍵となっている。以上の観点から、本報告では降雨予測の推定誤差を定量的に算定するための方法論について検討している。
　江藤らは、沖縄八重岳レーダの雨量情報を用いた解析の結果、予測された雨量に対しそのまわりに実際に生起する雨量の分布をガンマ分布で近似した。また、標準偏差の関係は予測時間（と平均値の関数として精度よく表された。

そこで、本報告では、平成13年台風15号接近時に北海道において配信された(財)日本気象協会による降雨予測情報、ならびに近年の北海道の主要洪水において実測雨量の３時間移動平均値を予測雨量とした場合（旧建設省方式）を対象とし、予測雨量の誤差の分布特性を検討した。

さらに、実用性を考慮し、実測雨量の標準偏差の代わりに予測雨量と実測雨量の平均二乗誤差の平方根（RMSE：Root Mean Squares Error）を用いて予測雨量の誤差分散算定式を提案している。

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