北海道におけるPUBの提案と中小河川のハイドログラフ推定法

A Proposal of PUB in Hokkaido and Estimation of Flood Hydrographs
in Small River Basins
星  清1・大泉卓也2
Kiyoshi HOSHI and Takuya OOIZUMI
1(財) 北海道河川防災研究センター・研究所長
2 (株) リブテック・計画部
要旨

水文観測データを用いる洪水流出解析手法は水文データが豊富でない河川流域に適用する際に大きな困難に遭遇する。とくに、発展途上国においては、流量などの水文諸量が不足しており、河川計画や管理に種々の問題が起きている。

PUBとはPrediction of Ungaged Basinの略であり、水文資料の不備な流域におけるハイドログラフを推定するという目的から、世界的にも研究が盛んである。

本報告での解析においては、北海道内一級河川13水系及び指定河川・標津川におけるピーク比流量0.4(m3/s/km2)以上の650既往洪水資料に「損失項を含む貯留関数法(1段タンク型貯留関数モデル)」と「地下水流出成分を含む貯留関数法(2段タンク型貯留関数モデル)」を適用してモデル定数の最適同定を行い、北海道内の流量資料の不備な小流域において洪水ハイドログラフを推定する目的で、北海道を4地域に分割し貯留関数モデル定数の総合化(PUBの提案)を図った1,2,3)。

《キーワード:貯留関数法 ; PUB ; モデル定数の総合化 ; 最適同定》