戦後における札幌の発展と北海道開発事業

The Growth of Sapporo City and Hokkaido Development Project
in the Post World War Ⅱ Period
平 工 剛 郎
Takeo Hiraku
(有) 北海道総合研究センター代表
要旨

 札幌は戦後急成長を遂げ、今日では東京、大阪、横浜、名古屋についで全国第五番目に位置する大都市にまで発展している。この札幌の急成長は、全国的な都市の発展史の上でも特筆すべきケースであり、その成長の要因を明らかにすることは、今後の都市づくりや都市政策を検討する上できわめて重要と考えられる。
 そこで、本研究においては、札幌の成長、発展をもたらした社会的、経済的背景を分析し、急成長を可能とした諸要因を究明した。
 その結果、札幌の成長を促した主な要因としては①戦中における統制経済の進展や戦後のわが国の民主改革による中枢管理機能の集積②戦後の北海道開発の進展に期待した本州等企業の大量進出による都市経済の活性化③北海道開発事業を中心とした政府投資の重点投入による都市基盤の整備④オリンピックの開催による発展基盤の刷新⑤石炭、水産、農業、鉄鋼、造船など道内各地の基幹産業の低迷による地方圏からの人口流入-の五つが挙げられることを指摘した。
 また、その中でもとりわけ戦後の北海道開発において札幌が牽引車的な役割を果たす戦略的な地域として位置づけられ、札幌を中心とした地域に開発資金、開発事業が重点的に投入されたことがその成長、発展に大きく寄与した点を明らかにした。

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