根固め工の設計法に関する研究

On the Design Method of Foot Protection Works
福岡捷二1・内田龍彦2
Shoji FUKUOKA and Tatsuhiko UCHIDA
1中央大学研究開発機構 教授
2広島大学大学院工学研究科 助手
要旨

流水による河川構造物の周りの洗掘を軽減し,構造物の機能を長期にわたり発揮させるために構造物前面に根固め工が設置され.根固め工の先端の河床は,速い流れに晒され洗掘を受けることから,洪水外力に対する安定性と,根固め工前面の洗掘に柔軟に屈撓し対抗できる重量と敷設長さを持たなければならない.しかし,現在の根固め工の設計法は,洗掘深とブロック敷設長さの関係を単純に幾何学的に表現したものであり,一般性に欠ける.

本研究は,最初に,根固め工の力学的設計法を確立することを目的に,ブロック前面河床の洗掘深とブロック重量・敷設数の力学的関係を定式化した.次に,この算定法の有効性を確認するために,根固めブロックの滑り力の測定を行い検討した結果,ブロック群の滑り力と洗掘深を関係付けることが出来れば,根固め工の必要敷設幅が決定可能であることが明らかとなった.

本研究で得られた主要な結論を以下に示す.

(1) 根固め工上流端では,大きな局所洗掘により根固め工の変形量が大きく,河道中央方向に滑りやすいだけでなく,水衝部となるため河岸と根固め工の間に隙間が生じると,河岸近傍の河床は著しく侵食される.このため,根固め工上流端は,護岸基礎工が洗掘被害を受ける危険性が高く,法覆工や周辺構造物の被災に繋がりやすい弱点箇所となる.

(2) 根固め工の滑りは,根固め工前面河床の洗掘による根固め工の変形が河岸方向に伝わることによって滑りに抵抗できる根固め工の範囲が減少し,摩擦力が低下することによって生じる.吸出し防止マットなどの設置により砂の流失を抑えることは,根固め工の変形を抑制し,根固め工の滑りに対する抵抗力を大きくすることに有効である.

(3) 根固め工の滑り力の計測結果から,根固め工の滑り破壊が生じない敷設幅の算定法を示した.

Key Words: 河床洗掘,河川構造物の安全性,根固め工,敷設長さ,設計法