河川整備のための対話型住民参加システムの構築

A Construction of Dialogue System on Public Participation
for River Improvement
加賀屋 誠一
Seiichi KAGAYA
学博 北海道大学大学院 工学研究科 教授(〒060-8628 札幌市北区北13西8)
要旨

 昨年度に引き続き、河川整備計画における住民参加のシステムについて、その概念及び具体的な適用方法について検討を加えた。

河川事業を取り巻く環境が変化するにつれて,河川整備に対する市民の考え方や関心がかつてないほど高まりを見せている昨今、住民参加の方法についても、様々な議論を通してその可能性と合理的な方法の確立が急がれている。

 本研究では、それらの点を踏まえ、どのような方法によって、地域住民が計画から事業実施、維持管理までのサイクルに参加可能となるかについて、対話型住民参加システムによって検討を行うものとする。対話型住民参加システムは、行政と住民の対話を基本とする考え方である。ここでは、住民の河川整備に対する考え方を提案していただき、その考え方に必要な情報収集と公開、さらに想定される状態をシミュレーションによって再現する。一方、住民は、計画が可能かどうかについて議論を深め、場合によっては、事業や維持管理に対しても参加する形で、最も適した計画案を考えていく。これらの相互に関連した意見集約の方法は、技術的最適解と社会的最適解の2つのステージを1つのステージで求めていくものであり、ボタンのかけ違いをなくするための最適な考え方でもある。

 具体的な方法としては、行政と住民間のワークショップに、学識経験者やコンサルタント等の情報が直接提供される対話型システムと、それらの考え方を整理すべきいくつかの解析的な方法やシミュレーションの方法、さらにより広範な意見把握のための意識調査等がプロセスとして位置づけられたものである。

 この方法は、十勝川相生中島地区の川づくりで実証的に検討され、対話型意思決定法で得られた案を合意形成の下に具体的に確立することを行った。

≪キーワード 河川整備計画、対話型住民参加システム、ワークショップ、ファジィ構造化法、コンジョイント分析、ファジィ積分、NGT≫