小流域における水質成分流出モデルに関する基礎的研究(Ⅱ)

Fundamental Research on the Flash Model of Water Quality Elements at the Small Basin (Ⅱ).
余湖典昭・嵯峨 浩
Noriaki YOGO and Hiroshi SAGA
北海学園大学工学部土木工学科教授
要旨

本研究は、豊平川支流のオカバルシ川流域を研究対象として、水量と水質の流出機構の解析を目的としたものである。2003年度は5月中旬から11月上旬の期間、雨量、水位、河川水の水質などの自動観測と雨水のサンプリングを実施した。

オカバルシ川流域の流出率は50%程度であった。雨水中の水質成分の濃度変化とその起源について考察し、硫酸イオン、無機窒素イオン、カルシウムイオン、カリウムイオンについては人為的な発生源に由来することが明らかになった。また流域への雨水による水質成分の負荷量を求め、河川への流出負荷量と比較検討を行った。塩化物イオンについては河川流出負荷量の大部分が、雨水由来の負荷によることがわかったが、その他の成分については流域内からの供給量が大きな割合を占めた。また短期間に連続的に降雨が発生した場合、溶解成分の雨水からの負荷量と懸濁物質の河川への流出負荷量に履歴効果が観測された。今後、物質収支の精度を向上させるには、履歴効果を定量的に把握することが必要である。

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