雪質変化を考慮した積雪層内の浸透流解析
―雪質に影響を与える雪密度の推定法―

Analysis of Seepage Flow in Snow Coverage Layer in Consideration of Snow Quality Change
-Estimation of Snow Density-
中尾 隆志
Takashi NAKAO
北見工業大学土木開発工学科
要旨

 融雪期における積雪層内の浸透流解析では雪粒子自身の凍結・融解のため雪粒子の粒径分布が絶えず変化している.また,融雪が発生していない時でも積雪上部の雪自身の重みのため圧縮変形が生じ,積雪層内の積雪層内密度は容易に変化する.遠藤らは時間降雪深を求めることを目的に粘性係数と密度の関係式を決定し,降水量と積雪深データのみより時間降雪深を推定して実測値との比較検討から良好な結果を得ている.本論文は遠藤らの提案している粘性圧縮モデルをベースに2003年12月から2004年4月までの北見アメダスデータを用い積雪層内の積雪密度の推定を試み,実測値との比較検討を行った.実測データにやや密度のばらつきが見られるものの両者の傾向はほぼ一致していた.また,アメダス降水データに欠測が生じたため,新たに降水量推定法を提案した.この方法による計算積雪深と実測積雪深の最大差は2.03cmであり,アメダス観測で用いられている超音波積雪深計の測定精度±1cmと比較しても十分な推定結果であった.

《キーワード:雪質変化;雪の圧縮変形;積雪深変化;降雪深》