苫小牧地域の河川流域の流出特性に関する研究(2)

Hydrological Study on Rivers in the Tarumae Volcanic Area
八田茂実1
Shigemi HATTA
1 苫小牧工業高等専門学校環境都市工学科助教授
要旨

わが国には火山地帯を流れる流域が多数存在するが,これらの地域では洪水流出過程を検討した例が少ない.これは,これらの流域で渇水比流量が極めて大きく洪水流量が小さいこと,流域界が地形的な分水界に一致しない場合が多いためである.しかし,流域の場が活火山である場合には,火山噴火によって流出機構が一変する可能性があり,現状の流出過程を明らかにすることは将来の研究資料としても重要である.本研究はこのような観点から,これまでに洪水流出過程に焦点を当てた調査がなされていない第四紀火山流域を対象として現地調査を行い,その調査結果を示すとともに,対象地域の流出過程を検討した.この結果,対象流域では河道近傍の降雨から形成される出水と,水源部の湧水を主とする規模の大きい地下水流が加わった出水の2 つのタイプがあることを示した.また,前者のタイプの出水は河道降雨と流出寄与域的な扱いで洪水主要部分を再現できることを示した.

《キーワード:流出特性;第四紀火山;流出寄与域;直接流出》