浮遊砂を含む開水路流れ

0pen Channel Flow with Suspended Sediments
板倉 忠興
Tadaoki ITAKURA
株式会社リブテック
要旨
浮遊砂含む流れは、河床物質輸送量の中でも水流中の乱れに直接支配される現象であり、この問題を解明するためには固液二相流における乱流構造と浮遊砂との相互作用を考察する必要がある。浮遊砂を含む開水路流れに対する取り組みは1930年代からと言われ比較的永い歴史をもっている。浮遊砂流の実験的研究は主として米国を中心に行われ、わが国ではとくに理論的研究が活発に行われてきた。一方で水流中の乱れの計測技術が実用の段階に入ったのは1960年代になってからである。
これらの研究の成果によって浮遊砂流の解析精度は次第に向上し、1980年代にはほぼ一段落の状況に至ったと思われる。例えば、近年土木学会などで公表される課題の中には「流砂」や「乱流」の基礎的な研究はほとんど見られない。
本文は、このような観点から、筆者が北海道大学在任中の1988年当時浮遊砂流に関する研究成果の中で、とくに拡散方程式タイプの解析に主眼をおいて取りまとめた講義録に若干の加筆修正を行ったものである。主な内容は、開水路定常流における浮遊砂流の流速分布、浮遊砂の濃度分布、浮遊砂の基準面濃度、流浮遊流砂量である。
《キーワード:開水路;浮遊砂;浮遊砂流》