ダム治水容量の時点別決定法に関する研究
A Statistical Approach for Seasonal Determinations
of Flood Control Capacity at Reservoirs.
of Flood Control Capacity at Reservoirs.
要旨
現在のダムの洪水調節容量は、既往降雨デ-タから各年のある期間内(期間幅)に生じた3日間雨量や一雨雨量等の最大値を抽出し、確率値をとって計画降雨を設定したうえで流出解析および計画の放流操作を行って定めている。その洪水調節容量をとる期間幅は降雨の多い期間(通常7~9月)を洪水期として設定するか、オールサーチャージ方式として通年(1~12月)を設定するものが多い。また2期洪水期として洪水期以外に6月や10月の短い期間に生じた既往の3日間雨量等から、その期間の確率値を設定することもある。
貯水池の有効利用に向けて、必要な治水容量を時間的に細かく変化させて算出してみると、洪水期の中でも利水に振り向ける可能性のある時期や、さらに安全度を確保すべきである時期が明らかになる。それには各時点で前後の確率をとる期間幅を適正に設定して、その期間内に生じた3日間雨量等について確率計算を行い、容量を定めることが必要である。このための検討は従前より殆んど行われておらず、本研究において天気図を用いた気象学的アプローチにより、確率をとる期間幅を適正に設定する方法を検討し、今後のダム運用における弾力的管理などの効率化や再開発に向けて、治水利水の安全度向上に有効かつ実用的な手法の開発を図るものである。
《Key Word: ダム、 治水容量、 降雨期別確率値、 天気図、 低気圧》