小流域における水質成分流出モデルに関する基礎的研究

A Fundamental Study on the Flash Model of Water Quality Components at the Small Basin
余湖典昭
Noriaki YOGO
北海学園大学工学部土木工学科教授
要旨
本研究は、豊平川支流のオカバルシ川流域を研究対象として、水量と水質の流出機構の解析を目的としたものである。2002年10月上旬から11月下旬にかけて、雨量、水位、河川水の水質などの自動観測と雨水のサンプリングを実施した。
オカバルシ川では降雨に対する流量の応答が極めて速いことが明らかになった。流出率も50%程度の値が得られた。オカバルシ川の急激な流量変化に対応してSS成分の濃度変化も大きいが、流量減衰時にも斜面崩壊に起因すると推定されるSS濃度の上昇が観測され、その割合はSS流出量の26%に達した。水質成分の流出負荷量は、溶解成分は流量とほぼ直線関係にあるが、懸濁成分では指数関数的に増加することが明らかになった。
雨水中の水質成分濃度は、降雨初期に高く、次第に減少する傾向が見られたが、送風塩、気象条件、各種排気ガスの影響を受けていると推定された。
オカバルシ川流域での雨水からの水質成分負荷量と、河川流出負荷量を計算し、流域内での物質収支について検討したが、雨水からの負荷量と河川への流出負荷量がほぼ等しい成分と、後者が大きい成分に分類された。
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