等価周波数伝達関数法による流域特性の把握と実流域への適用
Runofｆ Characteristics Based on the Equivalent Frequency
Transfer Function and its Application
Transfer Function and its Application
要旨
流出現象を厳密に記述しようとすると,分布定数系のモデルを採用することになる.一方,実際的な流出解析の立場からは,なるべく簡単な流出モデルが好まれる.分布定数系の流出モデルと言っても,多数のモデルを考えることができる.例えば,河道の流れを取り上げても,この支配方程式をdynamic wave式,diffusion wave式,kinematic wave式で記述することができる.
本研究は,斜面流出はkinematic wave式で記述できるものとして,河道の流れをどのような分布定数系のモデルを採用すると計算流出量の精度を落とすことなくより簡単な分布定数系のモデルを用いて記述できるかを検討したものである.取り上げた流出モデルは,上述のdynamic wave式, diffusion wave式, kinematic wave式とした(本報告では, diffusion wave式,kimematic wave式について述べている).
各モデルの等価周波数伝達関数を誘導し,これより求まる遅れ系の係数を比較することによって2個の無次元数によって,それぞれのモデルの適用範囲を明にした.また,北海道内の主要河川の無次元数を求めたところ,kinematic wave式で十分近似できることが分かった.
《キーワード:dynamic wave式;diffusion wave式;kinematic wave式;流出解析;等価周波数伝達関数》