粘着性の弱い細砂で構成された斜面上における
水路形成の線形安定論

Linear Stabi1ity Ana1ysisi of the Channelization on S1opes
Composed of Weak1y Cohesive Fine Materia1
泉典洋1・藤井健司2
NorihiroIZUMI and KenjiFUJII
1東北大学大学院工学研究科 , 2山形森林管理署新庄事務所
要旨

 粘土などの粘着性の強い土壌で構成された斜面上にはガリが形成され,それによって土壌侵食が促進されることが知られている.また粘着性が比較的弱い火山灰などで構成された斜面上にも同様のガリが形成され,土砂の流出が急激に進む現象が観察されている.粘着性が弱い場合,土砂の侵食抵抗が弱く侵食量が大きくなるため,流水中における浮遊砂濃度の上昇に伴って堆積が生じはじめる.本研究では,粘着性土砂で構成された斜面上における水路群形成の理論を,堆積が無視できないような粘着性の弱い土砂で構成された斜面上におけるガリ群の形成に拡張したものである.解析の結果によると,底面剪断力が大きく十分な巻上げが存在するような場合,フルード限界水深の600-1500倍の間隔でガリ群が形成されることが明らかとなった.

《キーワード: 非粘着性土砂; 火砕物台地; 火山灰; 線形安定解析》 </sup>