ダム流域を対象とした損失機構を有する貯留関数法の総合化

Syntheses of Storage Routing Model with Loss Mechanisms in Reservoir Catchments
園山 裕士,星 清
Hiroshi SONOYAMA and Kiyoshi HOSHI
(独)北海道開発土木研究所河川研究室室員,(財)北海道河川防災研究センター研究所長
要旨

観測水文量を降雨流出過程の解析に直接用いることができれば理想的である.本報告においては,損失機構と地下水流出成分を組み込んだ新しい貯留関数法を提案している.ニュートン・ラプソン法を用いて3個のモデル定数の最適化を行っているが,最適化に必要な1次微係数(感度係数)を解析的に算定している.
本報告では,河道での遅れ効果が無視できると考えられる流域面積が400km2以下の全国のダム流域における264ケースの既往洪水資料に提案モデルを適用して,モデル定数の総合化を図った.未知定数の最適値は,全国ダムと北海道ダムともに同等であり,本報告で提案した総合化貯留関数法を利用すれば,流量資料が乏しい小流域での洪水ハイドログラフを雨量資料から容易に推定可能である.

<<Key Words:洪水流出,損失機構,総合貯留関数法>>