少雪寒冷地における融雪流出解析の
総合化に関する研究

北海道東部地域は冬期間に土壌が凍結する少雪寒冷地域であり,この土壌凍結が流域の不浸透域を一時的に増加させる都市化現象に類似な現象を引き起こしている.本邦の融雪流出において,流域の土壌凍結の影響を考慮する地域は北見市近郊に設けた富里ダム流出試験地を対象に詳細な調査・研究を進め,土壊凍結の影響を考慮した融雪流出モデルを提案している.昨年度の研究では,気温と積雪深から土壌凍結深を予測するモデルを新たに組み込んだ融雪流出モデルを提案し,凍結深が20cm以下の場合は融雪流出に及ぼす影響が少ないことを示している.しかしながら,土壌凍結深と浸透孔,あるいは土壌水分構造の容量との関係を定式化するまでには至っていない.

本年度は土壌凍結深の経時変化予測モデルを組み込んだ融雪流出モデルを改良し,凍結深と浸透孔,土壌水分構造の容量との関係を踏まえた検討を行っている.更に,本年度はこれまでの研究の成果を集約し,少雪寒冷地における実流域規模の実用的な融雪流出解析の総合化についても検討している.

《キーワード：少雪寒冷地;融雪流出;土壌凍結;積算寒度;タンクモデル;総合化》